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『青空の卵』坂木司
評価:
坂木 司
(2002-05)
Amazonおすすめ度:
有栖川有栖の小説のように、著者と同名人物が作中に登場するんですね。

外資系の保険会社に勤める坂木司の友人、鳥井真一はひきこもりだ。
坂木は身近で起こった奇妙な出来事を語って聞かせ、
鳥井の関心を外に向かせようとする。
果して謎を解くことで、鳥井は飛び立つことができるだろうか。
(出版社/著者の内容紹介より)



五つの作品が収められた連作短編集。
坂木の一人称で語られるかなり感情本位で主観的な語りに戸惑った。

そして何だろう、この文章から感じるほんわかした空気は。
坂木と鳥井の距離感が、男と女のアレに近い気が。恋愛関係に。
恋愛ミステリ?いや、坂木と鳥井は男同士だしなあ、てことは同性愛か、なんて考える。印象的な一文を行間空けて書いてるのも何だか冷めて読んでしまった。
あまりに頻繁にやるもんだから慣れてしまって白々しいというか…。

あと特徴的だったのは台詞。やたら多い。
人物間の台詞主導でストーリーを引っ張ってるから、台詞が説明臭い。「春の子供」で、一人の台詞が区切りなくびっしり4ページ喋ったときはひいた。
しかも直後が「長い告白の後、…」と再開されてて噴き出した(笑)

なかなか、というか全然感情移入できなかったです。
坂木にあまり好感持てなかったのが原因だろうなあ。視点人物なのに…。
誰にでも優しくて穏やかな人間に見えて実は腹黒い、という感じで腹黒い部分まで肯定化するような心理描写があり、どうも好きになれない。鳥井との関係を語る部分では、なんだか歪んだ感情を吐露しつつもその表現が美化されてるから、何か自分に酔ってないかこの人、と思ったわけで。

困っている人に手を差し伸べる自分の気持ちを語るシーンも、良い人というより自分本位な印象を受けた。正確には覚えてないけど、
「手助けしなかったことで、その人が怪我したりしたら苦い気持ちを味わう。それを思えば、嫌がられても突き放されても手を差し伸べたほうがずっと気分よくいられる」だったと。
そして、坂木が読者に問いかける一文が出て、それでさらに戸惑うのだ。
考えてみてほしい、とか、どう思う?という感じで。ごめん共感できない、と返事するしかないわけで。

ひきこもりプログラマーが探偵役として事件を推理するという鳥井の人物設定は魅力的なんだけどなあ。興味を引くには充分だったんだけど、言うほどひきこもってないってのが正直な感想。
キャラを立てようとしてミステリそのものがおろそかになってるし、
インパクトや緊迫感を求める作品ではないですね。
事件に残虐性が無いのも一つの要因ですが、多分それは結果から見た印象。
緊迫感がないのは事件のテーマとして社会問題を扱ってるのに深く切り込んだ感がないからだと思う。犯人も含めて人の弱い一面を美化しすぎてて、どこかで聞いた倫理観の域を脱してない気がする。
筆者独自の言葉で登場人物の心の機微を描いて欲しかった。
読後は爽快感よりも、もやもやとした思いが残る。

この作家さんはミステリより恋愛モノ書いた方が作風が生かせるんじゃ…なんて一読者が偉そうに思ってたら。
あー!…作家プロフで検索して知る。
坂木司さんってこれがデビュー作なんですね。
しかも覆面作家だったのか。ちょっと納得。
男性作家と思って読んでたから女性的な筆致に違和感あったんだよなあ。女性なのかなあ。デビュー作だと言われてみれば、なるほどそうかも。
スタイルが定まってないあの独特の手探り感、あるかもあるかも。
シリーズ物だし、続きに期待してみようかな。

あ、本編外ですが、あとがきと対談が意外と面白かったです。
ちょっとした種明かしもあるので、これから読む方はぜひあとがきまで。

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読んでいただきありがとうございました
作家別・サ行(坂木司) | comments(0) | trackbacks(0)
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