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『鹿男あをによし』万城目学
評価:
万城目 学
(2007-04)
Amazonおすすめ度:
鹿が喋った!?――スラップスティックな歴史ファンタジー。

大学の教授の強い勧めで、奈良女学館の臨時教師を務めることになった主人公。
そこで彼を待ち受けていたのは、なんと喋る鹿だった。
「さあ、神無月だ――出番だよ、先生」
日本を救うために奔走する、ある臨時教師の四ヶ月間の物語。



筆者は2006年に『鴨川ホルモー』でデビューした万城目学。
確か本屋大賞でノミネートされていた。(まだ僕は読んでいないが)
二作目となった本作は、2007年に刊行され直木賞候補になるなど再び話題を呼んだ。
本作は、今冬、TVドラマ化したことでも有名である。
僕はドラマ化したことで知ったんだけど、ドラマ自体は観てない。

全四章で構成された歴史ファンタジー。書き下ろし作品。
こういった作家に出会うと、才能というものを改めて感じてしまう。
綺麗にまとめられたプロット、ユーモラスな文体、とてもじゃないが新人作家のものとは思えない。
悠久の歴史を誇る奈良を舞台にした目の付け所も流石だが、そこへ「喋る鹿」「日本を救う儀式」などファンタジー要素を取り入れた発想力と練り込まれた構想には頭が下がる。
とってつけたようなファンタジーではなく、あくまで歴史に味付けされたファンタジー。歴史的建造物や歴史的人物の登場が独特の興趣を感じさせ、本当だったら素敵だなあ、と想像を膨らまさずにはいられなかった。

伏線には大して期待せずに読んでたんだけど侮り過ぎてた。
本題とは無関係に捉えていたことが中盤でひっくり返り、序盤で仕掛けられた伏線を一つずつ綺麗に回収していく。先が読める部分もあるが予想通りの展開になっても、伏線の裏に伏線という仕掛けが二度三度とあり、構成の巧さを感じる。
結末は、予想通りであったけど気持ちがいい終わり方で満足できた。
ただ、堀田イトのファンが急増しそうだなとは思った。

鹿男、野性的魚顔に始まり、かりんとう教師にマドンナ先生など人物造形も個性的で魅力的。何と言っても喋る鹿は反則的に可愛かった。
偉そうで可愛いのよ。ソフトバンクのCMに出てくる喋る犬に似た可愛さ。
動物好きとしては、一度でいいから抱きしめさせてくれと思ったよ(笑)
ストーリー上、悪役となった人間や勘違いキャラたちの気持ちも理解できる部分があり、こいつほんと嫌いやなあ、という人物が僕はいなかった。平和的な人物が多いので、そういう意味では日本壊滅という危機感は薄れていたかも。

久々に奈良に行きたくなったなー。
『鹿男あをによし』を思い起こしながら歩く奈良、面白そうではないか。
奈良の大仏を見上げて自分の小ささを知り、
地元民の方言を耳に心地よく感じながらゆっくりと流れる一日を過ごす。
なんだか癒されそうだ。
そこへお辞儀しながら寄ってくる鹿がいたらこう言おう。
「いつもお世話になってます、次回もよろしくお願いします」と。
すると鹿は話してくれるかもしれない。
「まったく――人間というものは感謝してると言うわりに誠意が伝わってこないな」
「あ、ちょっと待って、いいものがあるんだ」
僕はガサゴソと旅行カバンから、ポッキーを取り出す。
「ほお――随分気が利くじゃないか、早速もらおうか」
「だろ。でも、だからといって僕を運び番にはしないでくれよ」
などと言いつつ、ポッキーを5本まとめて鹿の口へ運ぼうとしたところで――
「ちょっとアンタ」――清掃のおばさんに話しかけられる。
「鹿にポッキーあげちゃダメだよ、最近多くて困ってるんだよねえ」
これが現実だなと思いながら、振り返ると残念そうに背中を向け去っていく鹿の姿が見える。きっと僕はこう叫ぶ。
「びい」

ああ、妄想しすぎた。


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