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『重力ピエロ』伊坂幸太郎
評価:
伊坂 幸太郎
(2003-04)
Amazonおすすめ度:
抑圧された感情を解放させる――カタルシスミステリー

兄は泉水、弟は春。
春は、泉水の母親がレイプされたときに身ごもった子だった。
レイプという犯罪を憎みつつ、しかしレイプを認めねば自分が存在しない、という矛盾を抱えて生きる春。
そんなある日、遺伝子技術を扱う泉水の会社が何者かに放火された。
町の落書き消しを仕事としている春は、放火現場に残されたグラフィティアートの存在に気付く。謎のグラフィティアートの出現とともに起こる放火事件。
春からグラフィティアートの存在を聞いた泉水は、真相解明へ乗り出す。



伊坂幸太郎のメッセージは一貫している。
それを実感できる作品。

伊坂作品はそれぞれ相互にリンクし合う事で有名だが、
確か彼自身が、「作品は全て同じ世界の出来事」として語っている。
破綻せずそれをやり遂げるのは困難だと思うが、壮大で面白い試みだ。
ちなみに、本作には『オーデュボンの祈り』の人物が登場している。
先に読んでおくと面白味が増す。
逆に本作の登場人物は、『死神の精度』に登場している。

本作には、他の伊坂作品を読んだ人なら感じるであろう今までにない趣きがある。
堅苦しく、重い。
深刻なことを陽気に伝える男・伊坂幸太郎としては、ここまで深刻さが前面に出た作品は珍しいのではないか。
レイプという被害に遭いながらも、強く生きる春と泉水。また両親には明るさを感じることはあるが、それは暗闇を払拭する爽快なものではなく、暗闇を包むような健気さである。
その中で生きる春の心情を思えば、暗鬱な気持ちにならざるを得ない。
レイプ犯が、処罰と同時に保護されている現実にも、歯痒さと虚しさを感じる。

前半から中盤にかけて、この暗鬱な印象を抱えたまま読むことになり、
僕としては息苦しさを感じていたぐらいだ。
このまま終わるようなら、読後感は最低だったろう。
結末に関して、賛否両論あるだろうが、僕は良い結末だと感じた。

「放火犯人が分かりやすくて残念」という意見をアマゾンレビューでいくつか見かけたけど、分かりやすいというより、分かるように書かれてましたよね。伏線とは別に、犯人とは言いませんが察してください的な一文がいっぱいあった。
そこで大切なのは、放火犯人の正体が最も重要な謎かどうか。
謎は放火犯だけでなく、伏線もそこここに張り巡らされてる。
放火犯人の正体が本作の全ての謎と捉えず、パズルの1ピース程度に考えたほうが、この作品は楽しめると思うのです。
パズルの1ピースが埋まった程度で完成したなんて言う人はいないでしょう。
むしろそのピースを元に、パズル絵を完成させようとしませんか。

偉そうなこと言いつつ、僕が埋めたのは1ピースだけですが(笑)


「幸せ」とは、生死と切り離されたところに存在するものであって欲しい。
伊坂幸太郎は『死神の精度』では、死ぬことが不幸なのではなく、どう生きたのかが決めるというメッセージを描いていたと思う。

本作も同じなのだ。
どう生まれたかではなく、どう生きたのか――。
レイプという重力があろうとも、幸せに生きることはできる。
ピエロが重力を消すことができなくても、忘れさせたように。
伊坂幸太郎のメッセージは一貫している。

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読んでいただきありがとうございました
作家別・ア行(伊坂幸太郎) | comments(3) | trackbacks(0)
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Comments
「どう生まれたかではなく、どう生きるのか――。」
うーーーん。深いです。そうですね。本当に素晴らしい言葉が沢山でした・・・この本はまだ読んでいませんが、是非読んでみたいと思いました。またちょくちょく来ます!!!
Posted by c25lvsb14_l15 | 2008/02/21 5:10 PM

c25lvsb14_l15 さん
深いですよねえ。
と言いつつ、深く考えず読むことをオススメします。考えすぎるとよく分からなくなるかも。僕みたいに(笑)
Posted by ユウキ | 2008/02/25 2:37 PM


http://s8169-e.keikaku.elect-lon.com/s8169-e/
ここでフェラの練習につきあったら
やってる最中にアOルを指で掘られた・・・
瞬間背筋がゾクゾクっってなって口の中にだしちまった(笑)
Posted by XRR | 2011/03/25 4:48 PM

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