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評価:
乙一
¥ 1,575
(2002-07)
Amazonおすすめ度:
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夏休みが二十日ほど過ぎたころ、出校日で登校した「僕」に
クラスメイトの森野が見覚えのない手帳を差し出した。
「拾ったの」
「僕のじゃないよ」
「知ってるわ」
それは、殺人犯の落としものだった。
本を選ぶときに、「表紙やタイトルが気に入った」というだけで決めることがあります。
GOTHがそうだったわけですが。
読み始めは犯罪者を学生が華麗に追い詰める話かな、と思ったのですが、いやいや。
あっという間に、その特異な世界に引きずりこまれてしまった。
異常快楽殺人者の視点、「僕」の視点、双方から描かれる非現実的な世界と心理描写はかなり刺激的。
ミステリ色が濃く、読み応えのある小説でした。
視点がころころ変わる小説は、話に入り込めず苦労することが多いのですが、
GOTHは、ストーリーに重きを置いておらず、いくつかの事件の短編集として作られているので、特に問題なく読むことが出来た。
六話構成で、そのすべてに読みを裏切る仕掛けがあるわけですが、
その構成と仕掛けの巧さが光ってます。キラキラです。
特に三話目では、警戒してそろりそろりと"すり足"で読んだにもかかわらず、
「そうくるか」と。
いまどき「そうくるか」は無いだろ、と言われるかもしれませんが、「そうくるか」なんです。
どんな球がきても触れるようにバント体勢で挑んだんですが。
そして六話。
ここは実際に本を読んで欲しい。
そして読み返すでしょう。僕がそうしたように。
「深読みしすぎて空振り三振」が、僕の得意技なんですがね。それすら出来なかった。
消える魔球ですよ、見逃し三振でした。
読んでいただきありがとうございました
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