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『火の粉』雫井脩介
評価:
雫井 脩介
(2003-01)
Amazonおすすめ度:
視えない恐怖が忍び寄る――マインドホラー的サスペンス

裁判官・梶間勲は、ある裁判の判決公判の日を迎えていた。
被告は武内真伍。殺害された的場親子の隣人であり、事件当時、現場に居合わせて重傷を負い、被害者とされていた一人だった。証拠不十分、疑わしきは罰せず。
合議を重ね熟慮した結果、勲は無罪判決を粛然と読み上げた。
――二年後。
元裁判官の大学教授として穏やかな毎日を送っていた勲の隣家に武内が引っ越してきた。意図的ともとれる偶然に若干の胸騒ぎを覚える勲だったが、かつて無罪を言い渡した立場から無用な心配として彼を隣人として迎え入れた。
しかし、武内の懇切な親切ぶりとは裏腹に梶間家では次々と不可解な事件が起き、徐々に梶間家の家庭は崩壊してゆく。



まず、怖い。
次に、怖い。
最後に、やっぱり怖い。
沸々と湧き上がってきた自らの恐怖心に手に汗握るサスペンス小説。

とにかく武内が不気味。
過剰ともとれる親切ぶりが露骨に怪しく、しかし決して本心を見せない穏やかな笑顔が不気味で仕方ない。
また梶間家が良識人として彼を受け入れるところも彼の不気味さを一層際立たせている。姑の介護に日々を追われる尋恵、母を思いやるあまり尋恵をいびる義姉・満喜子、子育てに疲労感を覚える息子嫁・雪見。
外見は穏やかな一般家庭に見えて、どこの家庭も問題の一つ二つを抱えている、実は際どいバランスを保った上に存在している、そんな家庭の一つ二つの問題を細かく内から描くことでリアルに表現していく。
その上で、そこへ現われた武内の親切ぶりはどう見ても部外者の過干渉としか見れない。とっても不気味で怖いのだ。
巧みに梶間家へ取り入っていく武内とそれを無警戒に受け入れゆっくりと崩壊していく梶間家の様子は、まるで水の張ったコップにそっと異物が入れられ溢れ出していくように見える。

実際に武内みたいな人いるから怖いのかもしれないね。
ここまで大げさな人じゃなかったけど、人との距離のとり方が極端に近い人。
パーソナルスペース?に躊躇いなく踏み込んでくる人。
本人は親切心からの行動だし、こっちもそれが分かるだけに嫌な態度がとれないの。

どう見ても武内は怪しいのだが登場人物同様、僕も彼が犯人だと決定づけることができず、終始、苛々ハラハラしながら読まされた。
彼を犯人と決定付けるためには過去の一家殺人事件の武内犯人説を証明できなければ筋が通らない、極めて疑わしいのだが犯人とすると腑に落ちない点が幾つかあるのも事実。無罪判決も出ている、疑わしきは罰せず――……ああもう武内は犯人なの?どうなんだ?と怪しみつつもギリギリのところで犯人と決めきれず読むしかない。読まされてた。
それで物語半ばでふと思うのよ。
あれ、もしかして…まんまと僕はだまされてた?ミスリードに乗っかっちゃいました?と。小さな謎を一つ解いて読み手の心を揺らしてくるのよ。これがまたいいタイミングで。

評価は、限りなく5に近い星4つ。
読者の心理を巧みにリードする筆力はいかんなく発揮されていた。
かなり、かなり迷ったけど結末に入るまでの展開でどうしても都合が良すぎる部分があって残念ながら星4つにしました。個人的に最も重要視していた部分だったので。
とはいえ、自信を持って人に薦められる作品。ただ、読み始めると気になって仕方がなくなるので時間があるときに読んだ方がいい(笑)


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