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『海の底』有川浩
評価:
有川 浩
(2005-06)
Amazonおすすめ度:
危機的状況における人間模様――。

横須賀に<巨大甲殻類>来襲。
為すすべも無く逃げ惑う人々。逃げ遅れて食われる人々。
駆けつけた機動隊は、食われる市民を「奴ら」から守れるのか。
そして、孤立した潜水艦に逃げ込んだ海自隊員と子供たちの運命は――。



事前情報なしで読み始めて度肝抜かれた。
巨大な甲殻類が突如として押し寄せてくるのである。
その大きさたるや軽くメートル級。それが群れをなして押し寄せてくるという。
真っ赤な外殻にいびつなハサミ。その姿はまさにザリガニ。

荒唐無稽なパニックノベルと括ってしまいたいところだがそうでもない。
横須賀はあっという間にパニックに陥っているのだが、人々の混乱ぶりを語った話ではない。
前代未聞の脅威に火力不足を承知の上で決然と立ち向かう機動隊。
保身と対米関係に腰が砕けた内閣を動かすべく捨て身の指揮を執る警察官僚。
潜水艦に逃げ込んだ海自隊員と少年少女の邂逅、そこから明らかになるそれぞれの想いの衝突。
とても熱い人たちの物語なのだ。

『図書館戦争』シリーズでもそうだったが、筆者の書く人物は熱い。
僕が言うことも聞くことも無いような台詞がポンポン出てくる。
そこに漫画的な印象を受けないことも無いが、登場する人物それぞれの心の機微が細かく描写されていて「格好だけ」になっていない。
どの人物にも理解しやすい心理描写が丁寧に書き込まれており、感情移入しやすい。
僕が有川浩に魅力を感じるのは、この人物造形の巧さなんだと思う。
以前、見かけた論評の一節にこんな言葉があった。
「薄っぺらい人間の銃撃戦よりも、
 魅力溢れる人間の立ち話のほうがよほど面白い」
なるほど確かに、と思うのだ。

危機的状況で語られる物語には、警察や政府の厚い壁を始めとして、マスコミの在り方、
女性ならではの問題と様々な要素が取り上げられていて考えさせられる場面も少なくない。
巨大甲殻類来襲というのはあくまで舞台であって、舞台上で語られるのは人間同士の確執、不和、誇り。そこに恋模様も折り込まれていてライトな仕上がりになっている。
少し笑って、少し泣かされて、最後にほっこりさせられる暖かい本でした。


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